経験を積んでインターネット取引へ
株 インターネット取引
証券会社に口座を開設し、初めての取引が完了したあとは、電話やファックスで取引しても十分である。自分の意志をはっきりと伝えて、あとで確認の電話をすれば、取引はスムーズに流れていく。売買が成立すれば、証券会社から、数日後には“売買報告書”が送られてきて、取引内容の再確認もできる。また、証券会社が遠方にあったり、いちいち営業係員やセールスマンに電話するのは面倒だという向きには電話線(プッシュホン)を使った「ホームトレード」や「オンライントレード」が便利である。さらに、パソコンを使った「インターネット・トレード」も急速に普及し始めている。
米国では、すでに株式取引量の30%がインターネット取引になっていると言われるが、日本でも1999年10月からの“手数料の完全自由化”で、普及に拍車がかかることは間違いない。インターネット取引だと、株式取引手数料を最大で従来の9割引きにするという証券会社も出てきており、取引コストが大幅に軽減できるからだ。
実際に、1999年10月の手数料自由化後1か月で、わが国のオンライン証券会社は40社を超え、その株式ネット口座合計も30万を超えた(日本経済新聞の調査)とされる。一部推計ながら、全体の株式ネット口座数は1か月で55%増えた計算になり、証券会社によってはネット取引の売買件数が倍増したところもあったという。
ネット取引の最低手数料は1000円から2500円まで。ソニーが出資した異業種参入組のマネックス証券を例にとると、成行き注文は100万円まで1回1000円、指値は120万円まで1回1500円といった具合だ。やや変則的なのは松井証券。最低手数料は3000円だが、その内容は1日の取引が3回以内で300万円以下なら3000円、6回以内600万円以下は6000円となっている。
1日1回とか1週間に2〜3回しか売買しない投資家にとっては明らかに割高だが、米国のデイトレーダー並みに"売った””買った”を1日に何回も繰り凱てみたい向きにはマネックス証券よりも魅力的かもしれない。
手数料完全自由化前は、100万円以下の取引の手数料は約定金額によって2500円から1万1500円だった。それが自由化後、大手証券の手数料は予想に反して2割程度しか下がらなかった。ネット口座が急増したのは、そうした面で不満を感じた投資家があったからだ。 もっとも、最低手数料が1000円から2500円でほぼそろっているとはいえ、料金体系は各社とも違い、それなりに戦略が秘められているといえそうだ。
定額制、定率制、約定代金の何%といったように各社とも工夫をこらし特色を出そうとしているからだ。
定額制の代表はDLJデイレクトSFG証券で、成行き注文は1回1900円、指値注文は2500円。きわめてシンプルだ。この料金体系は株価の高い、いわゆる値ガサ株の売買に適している。同社の親会社である米国の投資銀行DLJ(ドナルドソン・ラフキン・アンド・ジェンレット)は企業や機関投資家さらには個人の富裕層が主な顧客だけに、親会社の戦略が垣間みえる。
これに対し、定率制の代表格がオリックス証券。リースでダントツのオリックスの子会社だが、成行き注文は約定代金の0.1%(最低1800円)、指値注文は0.125%(最低2500円)となっている。
この定率制でもっともシンプルなのは今川三澤屋証券で約定代金の0.3%、ミニ株は0.7%(最低600円)。成行きと指値で差はなしというものだ。同社では11月中旬から電話およびファックスでの注文は約定代金の0.5%(最低3000円、上限で5万円)と第2次値下げを打ち出した。
預り金残高に応じて手数料を設定しているのが日興ピーンズ証券。預け金が100万円以上500万円未満は0.42%。500万円以上ならば、もちろん手数料率は下がる。
インターネット取引に興味のある投資家ならば、どこの証券会社にしようか迷うところであるが、結局のところは投資スタンス、投資経験、資金量、情報に対する感度や分析力によって好みが決まってきそうだ。
株式投資には”時間を買う”側面があり、長期保有はひとつの基本だ。したがって年に2−3回しか売買せず、自宅にパソコンもないのなら、手数料は高くても従来どおり窓口で売買するのも良しとすべきだ。
逆に、投資経験が豊富で自分で情捌叉集や分析ができ、銘柄選定までできる投資家ならパソコンには不慣れでも、あえてインターネット取引に挑戦してみるのも一法だ。
パソコンでのネット取引の手順などは、インターネットカフェや1〜2時間の講習会などで簡単に覚えられるからである。
20〜30代で、インターネットはお手のものだが、株式投資をしたくても肝心の余裕資金がない、という向きには、単位株の10分の1の資金で売買できる“ミニ株”から入るのも一法だ。インターネットでのミニ株投資は数は少ないが、野村証券、大和証券、今川三澤屋証券などが手がけている。
要は、手数料の完全自由化とインターネット取引のインフラ拡大によって、投資家の行動選択肢は大きく広がったのである。
さらにインターネット取引では、証券会社の営業時間外、つまり夜でも取引が可能だ。これはホームトレードやオンライントレードも同様だが、昼間は本業が忙しくて株価動向を見たり、証券会社に行けない人にはもってこいである。その代わり、証券会社の営業係員やセールスマンと接しないから、情報特に最新情勢が入りにくかったり、キーボードの打ち間違え(たとえば1000株買うつもりなのに1万株と打ってしまう)などミスも起こりやすい。
したがって、初めて株式を買う場合や数回の売買経験しかない初心者は、やはり営業係員やセールスマンのアドバイスを受けながら取引を行なうほうが無難であろう。手数料が多少は高くても“授業料も含まれている”と割り切るべきである。
売買経験を重さね、株式取引に関する知識を十分に蓄ぇ、もう自分で判断して売買してもやっていけると自信がついてから、インターネット取引に切り替えても遅くはない。株式取引では知識と経験が、成否のカギを握っていると言えるからである。
*オンライン証券会社 対面ではなく、パソコンなどの情報通信機器を介して顧客の売買注文を受ける証券会社。第1章 株価はなぜ上がったり下がったりするのか?
*売買報告書顧客が発注し、売買の成立した耶=こ関して、日付、約定価格、銘柄名、コ
*デイトレーダー:dayTrader。パソコンで1日中株式の売買を行なって生活している日計り投機家。中国では専業投機家と呼ぶ
*預り金 株式売買などのために、証券会社が顧客から預かるおカネまたは有価言正券。
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