PER、PBR、ROEとは
PERとはPBRとはROEとは
「先日は、プロが計算すると株価1万円の銘柄は実際の価値として1万円前後の価が出るといったよね。どうやって計算するの?」
「うん、プロにはプロなりの秘密の計算方式があるらしいんだが、それは別として基本的な投資のモノサシとしてPER、PBR、ROEの3つは知っておくべきだね」
「わかった。そのほかに配当とか利回り、増資、株式分割、株主優待などいろいろあるそうだね」
「ずいぶん勉強したじゃないか。確別こそうしたことも株価に影響する場合が多いな」
「また調べて教えてくれる?」
「わかった∃。だけど、今回は疑問が多くて調べるのに時間がかかりそうだナ」
「そうそう、友だちのオヤジさんが言っていたけれど、株式投資の最大の魅力は買った株式の値上がりによる売買益なんだってね」
「値上がり益はキャピタル・ゲインと言うんだが、それだけが魅力のすべてというわけではないよ」「ほかに何があるの」
「株価の安い、つまり人気のないときにたくさん買って持っている人にとっては、インカム・ゲインつまり配当など株主への分配も重要なんだよ。株式投資は長く持って、会社の成長とその反映である株価上昇及びリターンを楽しむのが基本の1つさ」
簡単で使いやすいPER=株価収益率
株式の値段、つまり株価が割高なのか割安なのか、あるいは人気があるのかないのかを測る最もポピュラーなモノサシがPERである。 日本語では株価収益率と呼ばれているが、PERのほうが筒潔だし国際的にも通用するので、日本国内でも日常的に使われている。 このPERは、株価÷EPSという簡単な算式で求めることができる。ただし、実際に株価判定のモノサシとして使う場合には、予想ベースのEPSを使うから、PERも正確には“予想PER”となる。
具体例をあげて説明しよう。現在株価1000円のA社株は、今期の予想EPSが50円だとする。すると、1000円÷50円=20倍で、予想PERは20倍というわけである。
今期とは、最新の決算期を経過したあと、1年以内に到来する決算期のことで、たとえば、2000年3月期決算を完了した会社の場合には次の2001年3月期が“今期”となる。
企業や会社は、1年に1回は事業活動とその成果をまとめた“本決算”をすることを義務づけられている。加えて、株式上場企業や店頭公開企業は6カ月ごとの中間決算の発表も義務づけられ、さらにソニーなど先進企業は米国企業と同様の四半期(3カ月)ごとの決算も公表している。四半期ごとは別として、日本の上場・公開企業は本決算の発表資料(決算短針など)に“次期の業績見通し”を公表している。
また中間決算の発表時にも、今期の業績見通しを改めて公表するのが一般的である。
予想EPSを含め、今期の業績見通しを公表するのは、投資家に向けて企業が最低限行なうべき情報公開の1つである。
予想数字の変動が株価変動のインパクトになることも多いからだ。
前述したA社株の例をあてはめてみると、期初に公表した予想EPS50円が中間決算発表時点で60円に上方修正されたとする。
その時点で株価が同じ1000円だったならば、1000円÷60円=16・7倍、つまり予想PERは16.7倍となり、相対的に割安水準となり買い余地が拡大する。
仮に修正予想EPS60円を20倍に買うとすれば、60円×20倍=1200円となり、株価は200円上がる計算となる。
逆に、何かの事情で予想EPS50円が20円に下方修正されたとする。その時点で株価が変わらないとすれば、1000円÷20円=50倍、つまり予想PERは50倍にハネ上がる。
そうなると割高感から買い手よりも売り手のほうが多くなり、株価は下落する。
もし、予想PER20倍まで修正されるとすれば、20円×20倍=400円となる。
現実にはそこまで一気に暴落することはほとんどないが、予想EPSの下方修正は株価下落、つまり値下がりの有力な要因の1つであることは間違いない。
このように、PERは現実の株価を判定するモノサシとして簡単便利な道具だが、絶対的なものではなく、あくまでも相対的な尺度である。
市場全体の平均や同業他社と比較して割高なのか割安なのか、1つの目安として使われるモノサシなのである。重要な点は、業績つまりEPSが上向きか、横ばいか、下向きか、といった方向性だ。
経常利益が連続的に増加し、つれてEPSも増加を続け、増配や株式分割といった株主への還元策が期待される場合には期待値が高まるから、予想PERも必然的に高くなる。「l 逆に、業績が明らかに下降局面に入り、EPSも低下する場合には、予想PERはほとんど使われない。もし、業績が下がり続けて赤字に転落してしまえば、予想EPSをベースとして算出するPERはナンセンスだからである。 業績が下降中の銘柄は、少なくとも業績の底入れが確認され、企業収益つまりはEPSが上向いてくるまではPERを適用しないほうが無難である。仮に赤字会社が努力に努力を重ねて黒字に転換し、近い将来に復配も予想できるような状態になっても、法人税などを支払っていない場合は、PERを適用したとしても割り引いて使うべきである。 そうした点では、PERは健全企業というか健康体で成長力のある上場・公開企業の株価判定に向いているモノサシなのである。
株主持ち分の何倍かを示すPBR=株価純資産倍率
PBRは、日本語では株価純資産倍率と呼ばれているが、PERと並んで株価を判定する基本的なモノサシの1つである。
その算式は、株価÷BPSである。
P B R(株価純資産倍率)=株価÷B P S(1株当たり純資産)
具体例をあげると、現在株価1000円の会社の前期末の1株当たり純資産が500円だったとする。すると、1000円÷500円=2倍、つまりPBR2倍となるわけだ。
このPBRが、なぜ、重要なモノサシなのかと言えば、BPSが理論的には会社の“解散価値”を示すとされているからである。
BPSは、会社の株主資本(資本金、資本準備金、剰余金など)を既発行株式数で割った値である。それが500円あるということは、理論的には、会社がいますぐ解散しても、株主には1株当たり500円の分配があるということである。
ただし、上場会社や店頭公開会社が解散することは滅多にない。会社、特に民間企業は株主の付託に応えて利潤を追求し、毎年少しずつでも株式価値を増大させていくことが大きな使命だからである。
会社とは、利潤を日夜追求し、成長を求めて止まない”生きもの”である。
利潤が追求できなくなり、赤字になれば、どんどんやせ細り、最終的にはBPSがマイナスになることもある。
そうなると、会社解散どころか会社の死、つまり倒産が待っている。会社が倒産すれば、株券はタダの紙くずになり、株主は大損するわけである。
そうした観点から見れば、PBRが何倍かというのは大事な視点なのである。
もっとも日本ではバブル崩壊後の株価暴落とその後の低迷市場のなかで、配当を実施しているにもかかわらず、PBR1倍割れの銘柄が続出した時期がある。その背景は、
�@売り手が増加し買い手が減少、つまり供給が需要を上回った、�A資金コストの面から企業が株式の持ち合い解消に動いたなどがあるが、バブル時代に時価発行増資で巨額の資金を集め、その増資プレミアムによって“株主資本”が急増し、結果的にBPSが大幅に増加したことも一因といえる。
バブル時代に高価格で大量の時価発行増資をした会社や、全体的に株式人気が過熱していた時代に新株を売り出して上場や公開をした企業は、言葉は悪いが、BPSが水ぶくれしていると言っても過言ではないのだ。 日本株が、大勢として1998年10月に底値をつけ、1999年7月に日経平均で1万8000円台にまで戻した時点で、まだPBR1倍割れ、つまり理論上の“解散価値”以下の株価にとどまっている銘柄がけっこうあったのは、そうした“水ぶくれ”が大きな原因だ。 したがって、PBRも絶対的なモノサシではなく、あくまでも1つの目安にすぎないのであるが、水ぶくれしていようがいまいがBPSは株主の持ち分を表示していることに変わりはない。 その点では、株価のモノサシとして無視できないのである。なお、BPSは直近決算期つまり前期の数字を使うのが通常であり、当然ながらPBRも予想ベースではなくなり、いわば実績ベースとなる。
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